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はじめの一歩
第5章 Piece of memory ー記憶の欠片ー
広いリビングの蛍光灯と暖房を点け、続き間になっているダイニングの灯りも点ける。
私がぼんやりと立っていると、更に奥へと続くキッチンで、水の音がした。

音で、ヤカンに入れた水をコンロの火に掛けたらしいことがわかった。

幸村くんはダイニングに戻ってきて。

「座って?お湯沸いたらコーヒーでも淹れるから。…インスタントだけど。」

私はコクリと頷き、ダイニングセットの椅子を引く。

思えば、伏線はあった。

ここに来る前、スーパーで食材を探しながら、色々聞いた。
てっきり一人暮らしのワンルームとかだと思ってたから、ご飯作ってあげると言ったところで、キッチンなんて申し訳程度かも。と思って。

「キッチンって、どんな感じ?狭い?」

「別に…普通、だと思うけど。キッチンの広さの基準がよくわらないから、何とも言えない…」

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