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はじめの一歩
第5章 Piece of memory ー記憶の欠片ー
「就職して、働いてるって、十分じゃない。実家で住んでるのだって、別に社会人になったら家でなきゃいけないなんて決まりもないし、職場が通える範囲で、住める環境なのなら出る必要ないと思うし。俺だって、別にこの家自分で建てた訳じゃない。父さんが建てた家を、消去法で継いだだけ。売ってアパートに引っ越しても良かったけど、なんか、自分で金出したわけでもないものを勝手に売るのは忍びないっていうか…うまく言えないけど….安いトコでも部屋借りたら家賃だけじゃなく、初期費用が要るし、だったらこのまま住もうかなって。名義は俺のになったけど、大学出るまでは固定資産税も父さんが払ってくれるって言ってて。住むには便利なトコだし、1回売っちゃったら、この辺に自分で家買うほど稼げない気もするし。」
家のコトとか、税金とか。
呑気な実家暮らしの私には理解できない話ばっかりで。
私は何も返せなかった。
家のコトとか、税金とか。
呑気な実家暮らしの私には理解できない話ばっかりで。
私は何も返せなかった。