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はじめの一歩
第5章 Piece of memory ー記憶の欠片ー
流石に、何もしないつもり?
なんて、言えなくて。

「朝まで、いてあげようか? 幸村くんが、寂しくないように。」

幸村くんは大きく目を見開いて、すぐに気まずそうに目を逸らす。

「…や、それは…瞳さん、俺のこと子供だと思ってるかもしれないけど…流石に、それは、我慢できそうに、ない、から…」

「我慢する必要、あるの? 私達、付き合ってるのに? 正直に言いなさいよ。寂しいって。一緒にいて欲しいって。…居て、あげるから。」

幸村くんの目が。
辛そうに歪んで。

急に立ち上がった。

テーブルを回り込んで私のそばに来る。

ぎゅっと私を抱きしめた。
抱き合った姿勢だから、幸村くんの顔は見えなかった。

でも、潤んだ、震える声で。

「…さっき、嘘、ついた…ホントは、めっちゃ寂しい…」

私は、そっと幸村くんの首に腕を回して応えた。
私に、できることは、僅かかもしれない。

だけど。

少しでも、彼の助けになるのなら。
彼の寂しさを、癒すことができるなら、私に出来ることはしてあげたい…そう、思った。
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