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はじめの一歩
第6章 Piece of memory Ⅱ ー記憶の欠片 ー
ぎゅうぎゅうになると、降車ボタンも押せないくらい混雑するから、俺はいつも両手を上にあげてる。片手で天井のバーに掴まって、片手でボタンを押せるようにしてる。
鞄は自転車仕様にショルダータイプを斜めがけしてるし、両手は空いてるんだ。
ま、痴漢に間違われないように、の予防策でもあるんだけど。

実際、こんな混雑した車内じゃ身動きも取れないし、そもそも身体と身体が密着してる状況だから、周囲の人に手が当たるどころの話じゃない。それを隠れ蓑に、痴漢行為に及ぶ不届きな輩がいてもおかしくはない。
…と想像は出来るけど、実際男の俺は痴漢に遭うこともないし、勿論することもない。

そんな、いつもの通勤風景。

俺は、彼女に出会った…



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