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はじめの一歩
第6章 Piece of memory Ⅱ ー記憶の欠片 ー
今日も乗ってしまった…
とちょっと後悔する。
彼女が俺の近くにいることが多いのは、大体乗り降りする人は決まってるからなんだろう。
今日は、俺の右隣に居た。
いつものように、彼女の肩が震える。
カタカタと震えていて、目が薄っすらと涙ぐんでいるのが分かった。
こんなに辛そうなのに、何で誰も助けないんだよ。何で気付かない⁉︎
…何で、何もしないんだよ俺は‼︎
限界だった。
バスが停留所に停まり、人が動く。
その時に、ポケットに手を入れ、携帯を出した。メモアプリに『痴漢されてるの?』と打ち込み、後ろに気取られないように、そっと彼女に見せてみる。
彼女の目が見開き、横の俺を見上げる。
言葉を紡がない彼女の唇が、はい、と動く。
無理矢理身をよじるようにして、彼女の後ろに居た、こちらもよく見かける顔の40代くらいのサラリーマン風の男を見た。
無表情を装ってるけど、少し口角が上がってる。
俺はひとつ息を吸い込み。
一瞬、止める。
意を決して、
「…や、やめてあげて下さい!嫌がってるじゃないですか!警察行きましょうか?」
バッ、と彼女の背中側に手を差し込んで、人の手を掴み、上に突き上げた。
とちょっと後悔する。
彼女が俺の近くにいることが多いのは、大体乗り降りする人は決まってるからなんだろう。
今日は、俺の右隣に居た。
いつものように、彼女の肩が震える。
カタカタと震えていて、目が薄っすらと涙ぐんでいるのが分かった。
こんなに辛そうなのに、何で誰も助けないんだよ。何で気付かない⁉︎
…何で、何もしないんだよ俺は‼︎
限界だった。
バスが停留所に停まり、人が動く。
その時に、ポケットに手を入れ、携帯を出した。メモアプリに『痴漢されてるの?』と打ち込み、後ろに気取られないように、そっと彼女に見せてみる。
彼女の目が見開き、横の俺を見上げる。
言葉を紡がない彼女の唇が、はい、と動く。
無理矢理身をよじるようにして、彼女の後ろに居た、こちらもよく見かける顔の40代くらいのサラリーマン風の男を見た。
無表情を装ってるけど、少し口角が上がってる。
俺はひとつ息を吸い込み。
一瞬、止める。
意を決して、
「…や、やめてあげて下さい!嫌がってるじゃないですか!警察行きましょうか?」
バッ、と彼女の背中側に手を差し込んで、人の手を掴み、上に突き上げた。