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はじめの一歩
第6章 Piece of memory Ⅱ ー記憶の欠片 ー
「えぇと。被害者は、キミ?」

犯人を拘束しながら、お巡りさんが女のコに確認する。
コクコクと頷く女のコ。

「取り敢えず、話は中で。」

と交番に入り。

「キミとこの男性の関係は?」

女のコがふるふるとかぶりを振るから、俺は

「乗り合わせた乗客です。」

と言った。

「取り調べは付き合いますので、会社に遅刻の連絡を入れても良いでしょうか?」

お巡りさんがどうぞ、と言ったので、俺は携帯を出して、通勤中のトラブルで遅刻しますと上司に電話した。

お巡りさんは女のコに被害状況を確認しながら調書を取っていた。
涙目で、でもポツリポツリと話す彼女の言葉が文字で書きとられていく。
俺にもいくつか質問されて、彼女の制服の繊維や、犯人の手の繊維などを採取して、俺たちは解放された。犯人が今日これからどのように過ごすのかはわからない。スーツを着ていたし、多分サラリーマンなんだろうな。仕事とか、家庭とか。どうなるんだろうな。
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