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はじめの一歩
第6章 Piece of memory Ⅱ ー記憶の欠片 ー
大手の契約が一本取れれば、俺の販路全部の数年分の利益が見込める。ただ、小口だからと言って粗雑にしすぎるのも良くない。小口でいろんなパターンを試してみて、実績を作ってから大手に持ち込む為に、残しておかないといけない重要な販路だ。
ただし、求めるものが客によって違うから、仕事も細かく多岐にわたり、その労力の割に収益が見込めない、つまり誰もやりたがらないのは事実。
重要だと言いながら、花形とは程遠い、地味な仕事。
ただ、現場の声を直接聞きながら、あぁでもないこうでもないと客と作り上げて行く楽しさもあって。俺の性分には合ってると思う。

「そうなんですね…」

「吉田さんは?高校は普通科?専門科?」

「普通科です。」

「将来の夢とかあるの?」

俺はこれと言ってなかったけど…

「…お母さんに、なりたいかな…子供みたいですか?」
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