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はじめの一歩
第6章 Piece of memory Ⅱ ー記憶の欠片 ー
「あのねぇ、吉田さん…友達と掛けでもしてるの? 大人をからかうのはやめようね?」

吉田さんの笑顔が歪む。

「違っ!そんなんじゃないです!」

「…高校生とは付き合えない。話っていうのがこれのことなら、もう帰るね。」

俺はベンチを立ち上がり掛けた。
…ら、ぐんっ!と後ろに引っ張られる。

ぅおッ!と仰け反って後ろを見ると、吉田さんは、眉間に皺を寄せて。涙ぐんだ目で。俺のジャケットの裾を握り締めていた。

「…えーと。離して…くれる?」

「…離しません。付き合ってくれるまで離しません。…逃げたら、痴漢って叫びますよ…!」

ナニ? その脅迫⁉︎

俺はあまりの事に返す言葉を失い、またストンとベンチに座った。
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