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はじめの一歩
第6章 Piece of memory Ⅱ ー記憶の欠片 ー
「すごい!こんなの編めるんだ!売ってるやつみたいだよ!」

「サイズ、どうかわからないんで、着てみてください。友達のお父さんの、ニット借りて合せながら編んだから、おかしくはないと思うんですけど…」

「…友達のお父さんの、わざわざ借りたの…?」

「…うち、お父さん、居ないので…」

「あ、そう、だったんだ…ゴメン…」

「いえ。気にしないで下さい。私が話してなかっただけなんで…」

「うん、ありがとう。清美ちゃん。」

周囲を見回し、一瞬、肩を抱き寄せて軽くキスをした。

「えっ⁉︎」

目を見開き、口元を押さえた清美ちゃんの頰がどんどん赤くなって行く。

「節度は守る、けど。このくらいなら、大丈夫デショ。」

流石に照れ臭くなって、明後日の方向を見る。

清美ちゃんがぎゅう、と俺のコートの袖を握って呟いた。

「…もう、一回…して下さい…」



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