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はじめの一歩
第6章 Piece of memory Ⅱ ー記憶の欠片 ー
お墓につき、途中のスーパーで買ったお花と線香を供えて、手を合わせる。
清美ちゃんはしゃがんだまま、長いことお母さんと話しているようだった。

漸く清美ちゃんが立ち上がろうとしたら、しゃがみ過ぎて血が下ったみたいで。立った瞬間立ち眩みでふらりと上体が揺れる。

「おととっ!」

慌てて身体を支え。心の中で、清美ちゃんのお母さんに、
『これからは、こうやって僕が支えていきますから。安心して、見守ってて下さい。』
と誓った。

お墓詣りの後は、富良野まで車を返しに行き。
旭川まで足を伸ばして一泊。
日曜日。夕方の便で帰ったら、月曜からはまた仕事で。
でも、北海道に3年住んでたのに、1回も行ったことないから、行って見たい!という清美ちゃんのたっての希望で、旭山動物園を見にいく。

ものすごく寒かったし、スノーブーツなんて持ってない俺たちの靴は雪でぐちゃぐちゃになって、慌てて旭川でスノーブーツを買い、コーディネートなんて完璧無視のビミョーな格好になったけど。
足が凍傷になるよりマシだ、と諦め。

積雪の中、園内を散歩するペンギン達を見る清美ちゃんの喜ぶ顔に、来てよかった、と感動した。

動物園に閉園までいたら飛行機に間に合わないから、適当に切り上げて新千歳に移動し、大阪に帰る。

クタクタになったけど、本当に、濃い旅行で。
こんなに楽しい経験は、初めてかもしれない、と思った。
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