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はじめの一歩
第1章 Butterfly
今日の席は、店の比較的奥側で、壁に向かって座って居たから他の席からも目につきにくい位置だった。
はじめて、彼女の肩を抱き寄せ、額にキスしてみた。
驚いたように僕を見上げる彼女に、
「今日、この後、アフター一緒にお願いできる?」
彼女はコクリと頷いた。
彼女の左手を取り、薬指にそっと指輪を嵌める。
指輪はすんなりと嵌った。
少し緩いだろうか。根元まで嵌めてしまうと石の重みで回る感じがあった。
でもワンサイズ小さくすると節に引っかかる可能性もあったから、これで良しとしよう。
「…ぴったり…」
彼女が目を見開いて驚く。休みの間に自分で嵌めて見ることもしなかったのか…
「見ただけで指輪のサイズが分かるんですか?職業柄?それとも贈り慣れていらっしゃるのかしら?」
「指輪も女性の手も、他の仕事よりは良く見るだろうけど、指輪を贈りたいと思ったのは君が初めてです。」
彼女はふふ、と笑い。
「信じてあげる。」
と言った。
勤務終了後
ドレスから私服に着替えた彼女は、
シンプルな黒のカシミヤのロングコートを着ていた。
モノはいいのだろうが、かなり年季が入っている。
お洒落したい、遊びたい年頃だろうに、自分のコートを新調するよりも、家族の生活を優先させてきたのだろうと伺えた。
でもなぜか、不憫とは感じない。
清貧な美しさとでも言うのだろうか。
そんな彼女が、さらに素敵に思え、自分の目に間違いはなかったと。
彼女を好きになって良かったと、心から思った。
はじめて、彼女の肩を抱き寄せ、額にキスしてみた。
驚いたように僕を見上げる彼女に、
「今日、この後、アフター一緒にお願いできる?」
彼女はコクリと頷いた。
彼女の左手を取り、薬指にそっと指輪を嵌める。
指輪はすんなりと嵌った。
少し緩いだろうか。根元まで嵌めてしまうと石の重みで回る感じがあった。
でもワンサイズ小さくすると節に引っかかる可能性もあったから、これで良しとしよう。
「…ぴったり…」
彼女が目を見開いて驚く。休みの間に自分で嵌めて見ることもしなかったのか…
「見ただけで指輪のサイズが分かるんですか?職業柄?それとも贈り慣れていらっしゃるのかしら?」
「指輪も女性の手も、他の仕事よりは良く見るだろうけど、指輪を贈りたいと思ったのは君が初めてです。」
彼女はふふ、と笑い。
「信じてあげる。」
と言った。
勤務終了後
ドレスから私服に着替えた彼女は、
シンプルな黒のカシミヤのロングコートを着ていた。
モノはいいのだろうが、かなり年季が入っている。
お洒落したい、遊びたい年頃だろうに、自分のコートを新調するよりも、家族の生活を優先させてきたのだろうと伺えた。
でもなぜか、不憫とは感じない。
清貧な美しさとでも言うのだろうか。
そんな彼女が、さらに素敵に思え、自分の目に間違いはなかったと。
彼女を好きになって良かったと、心から思った。