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はじめの一歩
第1章 Butterfly
一之瀬。
散らばっていたパズルのピースが音を立てて嵌る。
4年前に倒産した、一之瀬物産。
事業の拡大に失敗し、社長が自殺した会社だ。
ウチの会社とも取引があったようだ。
父は社長とも交友があり、その葬儀に一緒に行った。
そこで見たのだ。
喪主でありながら、終始泣き通しで挨拶もろくに出来ない社長夫人の横で、涙一つ流さずに佇む、高校の制服を着た彼女を。
横に中学生か高校生か、彼女の弟と思われる男の子もいたが、その子も真っ赤に泣き腫らした目をしていた。
それなのに、彼女はあの考え込むような遠い目で、何処かを見ていた。
父親が死んだというのに、気丈な子だ。
そう思ったのを覚えている。
散らばっていたパズルのピースが音を立てて嵌る。
4年前に倒産した、一之瀬物産。
事業の拡大に失敗し、社長が自殺した会社だ。
ウチの会社とも取引があったようだ。
父は社長とも交友があり、その葬儀に一緒に行った。
そこで見たのだ。
喪主でありながら、終始泣き通しで挨拶もろくに出来ない社長夫人の横で、涙一つ流さずに佇む、高校の制服を着た彼女を。
横に中学生か高校生か、彼女の弟と思われる男の子もいたが、その子も真っ赤に泣き腫らした目をしていた。
それなのに、彼女はあの考え込むような遠い目で、何処かを見ていた。
父親が死んだというのに、気丈な子だ。
そう思ったのを覚えている。