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はじめの一歩
第5章 Piece of memory ー記憶の欠片ー
みんな連絡先を聞かれたみたいだけど、適当にはぐらかしていて、律儀に教えたのは私1人だけだったみたい。それを聞いてしまうと、教えてしまったことはみんなには言えなかった。
ま、悪用するコには見えなかったし、教えてしまったものは仕方がない、と諦めた。

翌日も、適当に滑って、ゆっこちゃんも彼氏と会えて、無事浮気疑惑も晴れたそうで、夕方約束通り迎えに来てくれたお父さんの車で、私たちは帰った。

連休明けから、ちょいちょい携帯にユキムラジュンイチからの着信があったけど、スルーしていたら、ある日、会社から出た所で、ユキムラジュンイチにばったり出くわした。

「中瀬さん!」

「あ…えっと…」

ヤバい…
着信スルーの言い訳を考えてたら、

「…ここで待ってたら出てくるかなぁって思って、張ってたんだ。」

「…なんで、会社知ってるの…」

「え?あ、えっと。沢井さん?に聞いた…」

…みんな個人の連絡先は教えてないけど社名は教えてたのね…

「あの、電話…くれてたけど…全然折り返してなくて…」

「あぁ。きっと、忙しいんだろうなぁ、と思って。俺もバイトとかあるし。だから、今日はバイトないから、ここで待ってた。」
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