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はじめの一歩
第5章 Piece of memory ー記憶の欠片ー
とりあえず、人目が気になって、駅の方に歩き出したら、ユキムラジュンイチがついてくる。

「ねぇ、待ってよ中瀬さん!」

「あのね、私忙しいの。学生に付き合ってる暇ないのよ。」

「中瀬さん、彼氏いる?」

「…居る、わよ…」

「じゃなんで俺に番号教えてくれたの?」

「……」

「俺、めっちゃ中瀬さん好みのタイプなんだ。真剣に、付き合ってほしいって思ってる。」

「……」

「ねぇ、ホントに、ホントに彼氏居るの?」

じっと目を見て問われたら…思わず目を逸らしてしまう。

「ホントに居るなら、俺の目を見て言ってみてよ。彼氏が居るって。大学生なんかお呼びじゃないんだって。」

やめて!って振り切ろうと思ったら、きっと十分振り切れた。
だけど。
彼があまりにも真剣で、縋るような目で見てくるから…
居た堪れなくなった。
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