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 その腕で壊して 
第1章  
「山岸さんの初体験の相手ってダレ?」



 暗がりに紺色のカーテンが見える。
 新井くんは私に背中を向けて自分の後始末をしながら、そのように私に尋ねた。
 満足し終えた男の態度がそっけなくなるのは年齢に関係ないらしい。


 さっきまでの熱っぽい言葉を思い返しつつ私も同じように、膣の奥から流れ出てくる新井くんの3回分の精液を丸めたティッシュで拭いながらそっけなく返答した。



「新井くんの知らない人」
「もしかして山本?」



 間髪いれずに同級生の名前を口にした新井くんの背中を見上げる。
 新井くんは振り向いて、じっと私の顔を見つめていた。




「え、なんで山本くん?」
「まえに親しそうにしてたから」
「全然・・・下の名前すらパッと出てこないレベルだよ?」
「じゃあ誰?もしかして前田?」
「だから、新井くんの知らない人だってば」
「年上?どこで知り合った人?」



 数時間前彼女になったばかりの私の交際遍歴を、彼は気にしはじめているらしい。
 私は下着に両脚を通してから立ち上がり、甘い汗の匂いがする新井くんの背中に抱きつくようにしておっぱいを押し付けた。



「べつにどうだっていいじゃん。今は新井くんのことが一番好きなんだから」



 だめ?
 言いながら顔を覗き込み、唇を重ねる。
 またケータイが震え出す。
 息を荒くした新井くんが再び私の上に覆い被さってきた頃にはもう、充電のほうが先に切れてしまっていた。



「ダメじゃないけどさぁ」



 新井くんが不服げにそう言ったのは、互いに衣服を身に着けた格好で肩を並べて玄関を出たときだった。
 私の膣内に4回も射精した新井くんはよほど冷静な心境なのか、はたまた満身創痍なのか、ただでさえ暗い表情が更に暗くなっている。
 
 
「けど・・・処女だと思ってたのに処女じゃなかったから、ちょっとショックだったっていうか・・・」


 新井くんのスニーカーはナイキのエアフォースワン。色は薄汚れたグレー。
 素足を泥まみれの踵を捻じ込みながら、新井くんは日に焼けた手で私の手を握った。



「なんていうか、慣れてるっていうの?エッチに余裕があるっていうか・・・」



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