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瞳で抱きしめて
第1章 家出?
「そういえば皆、俺の外見のこと触れませんでしたね」


つい、そんな話題もふってしまう。


「外見って、目の色のこと?」


「初対面のひとには大抵指摘されるから」


「ハーフなの?って?」


樹理は隣を歩く光の瞳をのぞきこんだ。


突然視線が正面から絡み合って、光の鼓動は早くなる。顔ももしかしたら赤くなってるかも━━━━


慌てて視線をそらすと、光はうわずりそうになる声に気を付けながら続けた。



「ハーフでもクォーターでもないんです。両親もその両親もその前も…知っている限りの先祖に外国人はいないはずなんです」


「?」



「俺が産まれた後、相当両親は揉めたって母が言っていました。DNA鑑定までして、すぐ納得したらしいですけど」


自分の白い腕を見ながら光は笑った。


「母の故郷は北海道なんですけど、たまに遠い昔のご先祖さまにロシア系の血が入っていることがあるんだそうです。どれくらい昔まで遡るのかははっきりしないけど…。それで、ある代で突然その大陸系の特徴を持った子供が産まれることがあるんだって聞きました」


「…なるほど」


納得したように樹理が頷く。


「知らなかった。そんなことがあるなんて」


「僕も、自分がこうじゃなかったら知らなかったことだと思います。普通は知らないですよ。だから」


光は笑い飛ばすように短く言った。



「いじめられたんです。この見た目のせいで」
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