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瞳で抱きしめて
第4章 不意討ち
「光、入学おめでとう!」



夕方、主役の光と母親の美里さん、私と真理、そして雄介は飾り付けられた店内で乾杯した。



「光ちゃん、高校の制服似合ってる!」


「ありがとうございます」


「お前また背伸びたんじゃないのか?」



真理と雄介は光を囲んで雑談に盛り上がっていた。


私はカウンターに入ると、大皿に盛り付けた料理を取り分け始める。

すぐに、美里さんも隣で手伝い始めた。



「あ、大丈夫ですよ。今日は招待したの私達ですから、ゆっくりなさっててください」


「そうはいかないわよ。ただでさえいつもいつも、息子がお世話になっているんですもの」


美里さんは屈託なく笑った。

若くして光を産んだのだろうか。

高校生の子供を持つ母親にしては、若く感じる。
色白で、背の高い人だった。


彼女に会うのは初めてではなく、初対面の時に彼女の方から名前で呼んでほしいと申し出があった。

外見が若々しい彼女をさん付けで呼ぶことは違和感がなく、こちらも光の存在同様、すっかりこの家では馴染んでいる。



「美里さんて、本当に美人ですよね」



つい、そう口にしてしまう。


入学式に出席するためフォーマルな装いをしてしっかりと着飾っている今日の彼女は、本当に若々しく耀いて見えた。



「やだ、樹理さんどうしたの」


恥ずかしそうに微笑む顔は、光によく似ていた。

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