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瞳で抱きしめて
第1章 家出?
「誰ですか……」
かすれる声でたずねた。
目の前の女性は、光よりいくらか年上だろう。
セミロングの黒髪を後ろで無造作にまとめ、ジーンズにTシャツというラフな服装だった。
近くに大学があるからそこの学生かも知れない。
「あ、あの……」
ばつが悪そうに光が再び声をかけようとした時だった。
「……っ!」
唇にまた痛みが走り、光はびくっとした。
目の前の女性が傷に触れていたのだ。
「あ、ごめん」
彼女は素直に謝り、手を引っ込めて立ち上がる。
そして光に手をさしのべた。
「もう血は止まってるのかと思って。立てる?」
境内で傷だらけで眠っていた光に対して、驚いたり取り乱している様子は微塵もなかった。
光はなぜだかそんな彼女に警戒心は抱かなかった。
差し出された手につかまって立ち上がる。
「お姉さん、背高いね」
警戒心がめばえなかったことと、まだ若干夢の中にいるような感覚だったのだろうか。
光はそんなことを口にしていた。
目の前の女性は165センチの光と並んでも少し目線が上にあった。
「まあね」
女性はそれだけ返事をすると、ジーンズのポケットからスマホを取り出す。
「家はどこ?帰れる?家のひとよぼうか?」
光の家へ電話をかけようとしているらしい。
電話番号は?ケータイ持ってない?とたずねてくる。
その言葉に、光は俯く。
「?」
「家には…」
「どうし…」
「家には帰りたくありません」
かすれる声でたずねた。
目の前の女性は、光よりいくらか年上だろう。
セミロングの黒髪を後ろで無造作にまとめ、ジーンズにTシャツというラフな服装だった。
近くに大学があるからそこの学生かも知れない。
「あ、あの……」
ばつが悪そうに光が再び声をかけようとした時だった。
「……っ!」
唇にまた痛みが走り、光はびくっとした。
目の前の女性が傷に触れていたのだ。
「あ、ごめん」
彼女は素直に謝り、手を引っ込めて立ち上がる。
そして光に手をさしのべた。
「もう血は止まってるのかと思って。立てる?」
境内で傷だらけで眠っていた光に対して、驚いたり取り乱している様子は微塵もなかった。
光はなぜだかそんな彼女に警戒心は抱かなかった。
差し出された手につかまって立ち上がる。
「お姉さん、背高いね」
警戒心がめばえなかったことと、まだ若干夢の中にいるような感覚だったのだろうか。
光はそんなことを口にしていた。
目の前の女性は165センチの光と並んでも少し目線が上にあった。
「まあね」
女性はそれだけ返事をすると、ジーンズのポケットからスマホを取り出す。
「家はどこ?帰れる?家のひとよぼうか?」
光の家へ電話をかけようとしているらしい。
電話番号は?ケータイ持ってない?とたずねてくる。
その言葉に、光は俯く。
「?」
「家には…」
「どうし…」
「家には帰りたくありません」