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瞳で抱きしめて
第6章 元カレ

「お姉ちゃんから聞いたの?珍しい。誰かに話すことなんて絶対になかったのに」



素直に驚いた顔をした真理さんに、少し気まずい気分になった。



「ええ…まあ…」



「やっぱりお姉ちゃんて、光ちゃんにすっかり心を許してるよねー。で、光ちゃんはお姉ちゃんの元カレの存在を知ってモヤモヤしてるってわけか」




ニヤニヤしながら横目で見られて、ギクッとする。


もしかして、やはり真理さんは感づいていたのだろうか。



「光ちゃんはお姉ちゃんのこと大好きでしょ?もちろん、愛してる、の方の大好きでしょ?」




冷や汗をかきはじめる俺に、全てお見通しよと言わんばかりの瞳で追い討ちをかける一言を真理さんは口にした。



否定しない俺を見て、クスクスと彼女は笑う。



「さすがに同じ家で暮らしてたらバレバレだよ!にぶちんの雄介は誤魔化せてるけどね。」



「…すみません」



「何あやまってんの?!いいじゃない。恋するのも自由、迫るのも自由。それを邪魔するほど私は野暮じゃないよー」



なんだか嬉しそうな真理さん。


恥ずかしくてやるせなくなっていく俺と反比例するように楽しそうだった。



「光ちゃんは年下だけど、しっかり者だし。頭もよくて将来も有望だし。安心してお姉ちゃんを任せられると思ってるんだよ!私、応援しちゃう」



からかっているのか、励まされているのかよく分からないテンションの高さだった。



ただ、次に彼女は俺にとって聞き逃せないことを口にする。




「教えてあげよっか。お姉ちゃんの元カレに関するあれこれ」
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