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瞳で抱きしめて
第8章 対峙
「おい、光。大丈夫か?」


あまりにも無言だったのだろう。

智也が小突いて、少し心配そうに見つめている。



「ゴメン。平気」


我に返って笑顔で謝ると、松井さんが明るく高い声で話を振ってくる。



「ねぇねぇ、戸田くんってカラオケでどんなの歌うの?」



いつの間にかすぐ隣に並んでいて、身体をじりじりと近づけてくる彼女に少し違和感を感じたが、俺の意識は相変わらず湊斗と樹理さんのことで一杯だった。



「カラオケねぇ…」



当たり障りのない受け答えでなんとなく間を繋いで、駅前に近づく。



松井さんの質問に不自然にならない程度の長さで答えながら、待ち合わせている真理さんの姿を探した。



「あ」



「?どーしたの?」



真理さんの姿を探す目線の中に、間違いなく樹理さん顔を認めて、俺は少し急ぎ足になった。



「ごめん、ちょっとこの後用事があって。待ち合わせを…」



「あ、そう言ってたな。じゃあまたラインする…」



「まって、もうちょっとここで話詰めとこうよ!」



俺と智也と松井さんの声が忙しそうに交差した。


松井さんに腕を引っ張られて、俺は身体を引き戻さる。



「ちょっと?」



「もう少しだけ。いいでしょ?」
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