この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
瞳で抱きしめて
第8章 対峙
松井さんは美人だと思う。
こんな風に至近距離で見つめられて、ねだられるように小首をかしげられたら、普通の男子なら大人しく言うことを聞くしかなくなるのだろう。
でも俺は、悪いけどそれどころじゃなかった。
なぜなら…
ついさっき目に入った樹理さんの傍らに、
背の高い知らない男が親しげに立っていたから━━━━━
「あっ!光ちゃんだ。おーい」
松井さんをどうにか説得して走り出そうとしていた俺の後ろから、真理さんの良く通る声が聞こえた。
彼女の声で、向こうから樹理さんたちも近づいてきてくれた。
「ちょうどよかったな。こっちも今車停めてきたとこだ。おっ、光の学校の子たちか」
「はじめましてー。光ちゃんがお世話になってまーす」
真理さんとの雄介さんは誰に対しても気さくで屈託がなくて、こんな調子だ。
たったこれだけの言葉で、智也たちと笑顔で挨拶を交わし始める。
「樹理さんっ」
俺はそんな友人たちの様子を見届けると、すぐに樹理さんのそばに駆け寄った。
自然と松井さんの腕を振りきってしまったが、その時は全く気にすることができなかった。
こんな風に至近距離で見つめられて、ねだられるように小首をかしげられたら、普通の男子なら大人しく言うことを聞くしかなくなるのだろう。
でも俺は、悪いけどそれどころじゃなかった。
なぜなら…
ついさっき目に入った樹理さんの傍らに、
背の高い知らない男が親しげに立っていたから━━━━━
「あっ!光ちゃんだ。おーい」
松井さんをどうにか説得して走り出そうとしていた俺の後ろから、真理さんの良く通る声が聞こえた。
彼女の声で、向こうから樹理さんたちも近づいてきてくれた。
「ちょうどよかったな。こっちも今車停めてきたとこだ。おっ、光の学校の子たちか」
「はじめましてー。光ちゃんがお世話になってまーす」
真理さんとの雄介さんは誰に対しても気さくで屈託がなくて、こんな調子だ。
たったこれだけの言葉で、智也たちと笑顔で挨拶を交わし始める。
「樹理さんっ」
俺はそんな友人たちの様子を見届けると、すぐに樹理さんのそばに駆け寄った。
自然と松井さんの腕を振りきってしまったが、その時は全く気にすることができなかった。