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瞳で抱きしめて
第8章 対峙
湊斗のアパートは1DKの、独り暮らしの男の部屋にしてはやや広めの間取りだった。
荷物の片付けを手伝いにきたはずだったが、家具は既に配置してあって、空いていない段ボールは10箱もないだろう。
「殆ど片付いてるじゃない」
樹理さんが部屋を見渡して言った。
「残りは必要になったときにその都度実家から運べばいいと思ってさ。こんなに人手だしてくれたのに、悪かったな。…君も」
湊斗が俺に目線を移す。
濃いブラウンに染めた髪は短く切り揃えてあり、切れ長の目がよく映えている。
目力の強い男だ。
緊張を感じ取られないように作り笑顔を浮かべて俺は「いいえ」と控えめに答えた。
「せっかく友達と用事があったみたいなのに。ごめんね。彼女さんも怒らせちゃったかな」
なにか含みのあるような言い方に聞こえたのは気のせいだと思いたい。
とりあえず俺は一番否定すべきところを強めに否定した。
「あはは。あの子は彼女なんかじゃないですよ。先程は失礼しました」
湊斗の隣の樹理さんを見た。
短くため息をついている。
先ほどのことを思い出しているのだろうか。
「湊斗、あんたさっきの言い過ぎだよ」
「うーん。確かにちょーっと迫力爆発してたよね!」
真理さんが明るく笑いながら樹理さんの言葉に被せた。
真理さんが笑うだけで、少しだけ場の空気が軽くなったような気がした。
荷物の片付けを手伝いにきたはずだったが、家具は既に配置してあって、空いていない段ボールは10箱もないだろう。
「殆ど片付いてるじゃない」
樹理さんが部屋を見渡して言った。
「残りは必要になったときにその都度実家から運べばいいと思ってさ。こんなに人手だしてくれたのに、悪かったな。…君も」
湊斗が俺に目線を移す。
濃いブラウンに染めた髪は短く切り揃えてあり、切れ長の目がよく映えている。
目力の強い男だ。
緊張を感じ取られないように作り笑顔を浮かべて俺は「いいえ」と控えめに答えた。
「せっかく友達と用事があったみたいなのに。ごめんね。彼女さんも怒らせちゃったかな」
なにか含みのあるような言い方に聞こえたのは気のせいだと思いたい。
とりあえず俺は一番否定すべきところを強めに否定した。
「あはは。あの子は彼女なんかじゃないですよ。先程は失礼しました」
湊斗の隣の樹理さんを見た。
短くため息をついている。
先ほどのことを思い出しているのだろうか。
「湊斗、あんたさっきの言い過ぎだよ」
「うーん。確かにちょーっと迫力爆発してたよね!」
真理さんが明るく笑いながら樹理さんの言葉に被せた。
真理さんが笑うだけで、少しだけ場の空気が軽くなったような気がした。