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アペリチーフをご馳走に。
第1章 アペリチーフをご馳走に。
「おかしくなっていいんだよ。…僕の前でだけは」

「…ひあっ!?」

梨子が快感と困惑と恐怖に混乱する中、新谷は優しく頬に、耳に、首筋に唇を落とし舌を這わせる。

「あ…いや…いやぁ…、…っ」

ぞくぞくと、虫に這われているように背筋に細い電流が流れる。耳元でリップ音を立てられ、ぬるりとした舌になぶられ……その未知の刺激に、快感だけが他のものを削り取りその値を確実に伸ばしていく。

「先生お願い…お願いします、もうやめて…もうイジメないで下さい…、もう恥ずかしいのやだ…。おかしくなっちゃう…」

梨子は最後の最後に新谷の慈悲にすがるように泣きじゃくりながら懇願する。

電車で痴漢されていた時とは違う。一人でオナニーしていた時とも違う。同意の元ではなく、一方的に与えられる快感なのに今の梨子には逃げ出すことも出来ない。

恐怖もある。しかしそれは男に襲われていることに対する恐怖ではなく、この快感に自分自身を見失い抜け出せなくなることへの恐怖だった。ただそれだけが凄まじい恐怖で、梨子は一生懸命新谷の手を握り願ったが──

「先生は、そんな梨子が見たいんだよ」

「……っ!!」

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