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3つのジムノペディ
第1章 レント(ゆっくり)で、荘厳に

ミセス・メルセデスが、椅子の上で両脚を開き、ぼくを迎え入れる。
黒い美しい、華奢なショーツには、すでに小さな染みが浮かんでいる。
「キスして。ゆっくり」
そう。
彼女はぼくに、決していそがせない。
舌を伸ばして、スリムなショーツのクロッチ部分に、そっと触れる。
熱を持ったちいさな湖が、そこにあるのがわかる。
ゆっくりと舌先を、その上下3センチ程度のエリアで、往復させる。
ミセス・メルセデスは、深いため息をついて、身体を小さく震わせる。
ぼくがガールフレンドを作らないのは、性欲をコントロールされているせいではない。
ミセス・メルセデスが、いまのぼくにとって、最高の恋人だからだ。
彼女が人の妻であることなど、問題ではない。それが何だというのだ。
また、社会的階級の差も、もはや何の問題にもならない。
この先はどうなるかはわからない。しかしいまこうして彼女の股間に舌を這わせながら、胸が裂けそうなほど、彼女をいとおしむ気持ちがふくらむ。
「脱がせて」
彼女が腰を浮かせて、その繊細で美しい工芸品のようなショーツを、彼女の下腹部から外してゆく。
アンダーヘアをすべて抜き去ってしまった彼女の性器。
トロリとしたラブ・ジュースに覆われ、キラキラと瑞々(みずみず)しく輝いている。
彼女のヴァギナの上、恥骨のほんの少し右上に、タトゥが見える。インディオの描く、ミステリアスな蛙のデザイン。こんな奇妙なタトゥ、見たことがない。しかしミセス・メルセデスの下腹部に住まう、そのフロッグは、いつも愉快そうな目で、ぼくを見る。
彼女の身体の奥底から、まるで樹液のように染み出てくる透明な蜜を、舌先でそっと味わう。甘く、深い潮の香り。ミセス・メルセデスの中にある、深海の芳香。
彼女は浅く早い呼吸を繰り返しながら、自分の中で充ちてくる潮を感じている。寄せる波が大きくなって、彼女という器からあふれる直前で、ぼくを導きたいからだ。
彼女がそれを求め、ぼくの既に痛いほど硬くなったペニスもまた、それを求めている。
やがてぼくらは性器を触れあわせ、心の奥底まで、蕩けさせる。

