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3つのジムノペディ
第2章   レント(ゆっくり)で、苦しみをもって


性行為の要点は、想像力なのだ、という。
言葉を使ったコミュニケーションなら、言葉、という極めて具体的なツールを利用することにより、こちらの意思をかなり明確な形で伝えることができる。
しかし性交渉の場において、必要以上の饒舌は、場の雰囲気を薄め、気持ちをそぐ役割しか担えない。
そこで重要なのは、指先に全神経を集中させ、相手の身体が発する言葉を聞くことなのだ(中指がトントン、とカウンターを叩く)。
「しかも、ただ受動的に聞くだけではいけない。パートナーの反応を読み取り、快楽をリードするためには、想像力が欠くべからざる道具になります」

カウンターの木目をなぞるように、彼の指はそっと動いてゆく。まるで整体師が患者の身体をトレースしてゆくように。
「相手の反応から、その望みを読み取り、その望みをかなえてやること。
あるいは望みをかなえずに、すこしだけずれた刺激を与えること。
それによって生まれるストレスは、川の淀みのように渦巻き、流れを遮断します。
その渦を十分に巻かせた上で、今度はその流れに出口を与えてあげる。
水は奔流となってほとばしり、相手の身体は自分の望む方向へと導かれる」

しかし、と彼は続ける。
しかしそれは、操作することではない。操作している、と思い上がった瞬間、身体の言葉は途絶え、水は枯れる。
操作するのではなく、奉仕すること。遣(つか)え、捧げること。
より良い、より清い水の流れを作るためには、指先に精神のありったけを注ぎ込んで、相手の身体を探り、調和させ、導くこと。
「それが結局、自分の気持ちをちゃんと伝えることなんですよ」

ぼくは何も言えず、そっとグラスの酒を舐めた。
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