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私立S学園高等部
第3章 モテない優等生
病室に入った時胸が張り裂けそうだった。
真中君は栃本さんとせりなちゃんに笑顔を向けて…。その後私を見て顔が凍りついた…と思ったら…。

私にも笑顔を見せた。

「喬子…。」

「栃本さんもせりなちゃんもありがとうございます。」
「大丈夫か?」
「検査の結果が良かったら明日辺り退院なんですよ。熱も下がってきたし。扁桃腺も手術しないで様子見ようって。」
「二週間位入院したの?」
「ですね。もう新年早々散々ですよ。」
真中君と栃本さんが話すのをぼんやりと聞いていた。

「喬子。」
「え?あ、はい?」
「二人で話したいんだけど?栃本さん、せりなちゃん、ちょっとだけ外で待ってもらえませんか?」
「いいよ。」
栃本さんは寝ている真中君の肩を叩いた。

病室は六人部屋だから二人きりじゃない。
でも真中君と久々に向き合う。
「あの日は本当にごめん。」
「あの日って…。ごめんって…。」
「その…。初めてを…奪うようなことをして…。」
「あの…。いや…。」
そんなこと怒ってない、今更。

「ごめんって何よ?」
「えっ?」
「真中君は後悔してるの?」
「してないよ…。俺、初めてが喬子で嬉しいと思ったし、あのクリスマスイブと違って何もかもうまくいったのは本当に嬉しかったからだと思った。」
嬉し…かった…。
本当に?
「入院しててもさ。あの日のこと思い出して喬子に会いたいって思った。あの日のことだけじゃなくて図書館に行ったこととか色々思い出して…。
鍋のこととか喬子なりに俺を励ましてくれたのかなぁと思ってさ。
あの日はお礼を言おうと思ってた。
けど…。髪の毛切った喬子ってその…。色っぽくて…。」 
私が…。色っぽい?

恥ずかしいとか照れとか緊張とかで顔が強ばる。

「どうして入院したこと教えてくれなかったの?」
「あの日の事怒ってるかと思って…。」
「私、嫌われたのかと思った。セックスしたのも過ちだと思ってるのかな?と。ううん。別に遊びでもセフレでもいいじゃん。こうやって関係が切れるのが嫌。」
「セフレなんて思わねぇよ。」

真中君は上半身を起こした。
「大丈夫?」
私が支えようとすると…。
一応カーテンで仕切られてるとはいえ六人部屋だ。
なのに。
真中君は私を抱き寄せた。
「真中君…。」
「喬子会いたかった…。ごめん…。好きだ…。」

「ごめんってなによ…。」
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