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私立S学園高等部
第1章 母の恋人
そして母の部屋の片付けは私と英司さんがある程度して、そのあとに業者さんが入ることになった。

母が亡くなって。

英司さんは表では泣かなかった。
けど裏で泣いている所を私は何度か見ていた。
私が病室で泣いているのをずっと手を握っていてくれた。

でもお互いにバタバタしていてゆっくり二人きりになれたのは母の部屋の整理が久々だった。

母の部屋からは私の写真が沢山出てきた。
なんか意外な気がした。
そしてそれを見てまた涙ぐむ私がいた。

「せりなちゃん…。写真とかアルバム持っていく?」
うんうん、と首を縦に振る私。
「まだまだ着れそうな高い服とか鞄とかアクセサリーとか持って行ったら?」
「わたし、こんな服着ないもん。」
「すぐに大人になるって。もうすぐ中等部でしょ?」
「せりなが中等部に入ったらお兄ちゃんに会えなくなるね。」
中等部は外出完全禁止だし校舎も寮も異性の立ち入り禁止。
「それともお母さんが亡くなったからもうお兄ちゃんとせりなが会うことも無いのかな?」
震えた声で英司さんに聞く。

「せりなちゃん…。俺も大学部で寮に入るし、高等部に進級したら会えるよ。」
英司さんは私の頭をなでなでする。
私は彼に抱きついた。
「せりなちゃん…。」
英司さんはそっと優しく慰めるように抱き締めてくれる。

けど。

私が欲しいのはこれじゃない。
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