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私立S学園高等部
第4章 Pink Prisoner
私と先輩と二人で食堂に入ると視線を感じた。
私達注目されてるみたい。
高等部進学直後の事は高等部内でもすぐに広まってたし、先輩は色々有名人だし…。

「樹里は進路とか考えてるの?」
でもその会話は真面目な話。
「取り敢えず外部進学で…。首都圏以外の大学を…。」
「あれ?樹理の実家って東京だよな?」
「だからこそ関東はパス…。もっと頭良くて自分で稼げる力があるなら海外に行きたい位。」
「実家に寄り付きたくないの?」
「うん。」
あの両親の下になんか戻りたくない。
私は私だ。
「俺は親父と一緒に暮らしたかったけどなぁ。」
「お父さんと?」
「ああ。まあ親父は今海外勤務だけどね。そろそろ来年辺り東京に戻ると思う。」
この学校は親が海外勤務で子供を連れて行けないから入学させたってパターンは多い。
小学部はほとんどそのパターンらしい。

そこから初めて先輩の家庭環境の話になった。
「俺の両親は二人とも所謂キャリア官僚だったの。でも母親は俺を産んでから体調を崩して俺が三歳の時に亡くなったの。で、親父は俺を実家の両親に預けたけど実家の両親もいつまでも俺を見られる訳じゃないしそれならとここの小学部に俺を入れたの。」
両親が健在なのが本当に鬱陶しくてたまらない私。
いつも両親に対してさっさと死ねとか思っている自分を少し反省した。

「この学校での生活は満足してるし親父は仕事大変だけど俺のことはちゃんと気にかけてくれてるし、夏休みとかはじいちゃんばあちゃんが面倒見てくれるけどやっぱり子供の頃はね。寂しかったかな。」

イケメンでキラキラしているイメージしかない阿部先輩の一面。

「東京かじいちゃんばあちゃんの住む京都に進学しようとは思ってる。自分は両親みたいな官僚とか無理だと思うけど。」
「家族思いなんですね。」
「意外だろ?」
「うん。チャラい、遊び人のイメージしかなかった。」
先輩は「ヒデェ」と私の頭を軽く叩いたけど顔は笑っていた。
そんな姿を見ていた食堂の他の生徒達が「ラブラブじゃん」と噂しているのが聞こえた。
「まあ女好きなのは認めるよ。でも一応ちゃんと勉強してるけどな。」

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