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私立S学園高等部
第5章 初恋
小二の俺は偶然会えたはるか先生をぼんやり見てるだけで後は普通に楽しい小学校生活を送っていた。
たまにはるか先生に挨拶して向こうからも返して貰えた時はニヤニヤして。
俺ははるか先生の『ファン』なんだな、と思っていた。
本能的には恋愛や性欲から来る憧れだったのかも知れないけどまだ子供だった俺はそういう欲望より単純な喜びだけではるか先生を見ていた。
普通に小学生生活を送りながらもどこかはるか先生を意識した毎日を送っていた。

俺が四年生になった時。
毎年夏休みは京都の祖父母の家に帰るんだけど、その年の六月に祖母が自転車でコケて太股の骨を折り、入院、手術後でリハビリの最中なので今年は京都に帰るのはお盆だけ、となった。
楽しみだったのでショックだった。
祖父ちゃんと琵琶湖に行くって言ってたのに!!

落ち込んでいたらその時の担任の先生が声を掛けてくれた。
「阿部君は夏休み京都に帰ってたから知らないと思うんだけど毎年、夏休みは学校でプール教室と夏期講座やってるんだけど参加しない?」
「夏期講座?」
「毎年小学部の先生だけじゃなくって中等部や高等部の先生も参加して色んな科目の色んな面白い講座をしてるよ。」
高等部の先生、と聞いてドキッとしていた。
「去年は低学年は社会の先生による地図講座をやったんだよ。今年の中学年向け講座は国語でディベートと小論文講座をやる予定。」
「でぃべーと…って何ですか?」
「討論、かな?」
「討論?」
「まあその辺は岬先生がお話ししてくれますよ。」
「岬…先生?」
「二年生に岬せりなさんっているの知ってるよね?岬さんのお母さんで高等部の国語の先生。ディベート講座の担当は岬はるか先生です。」
うっそー!!マジかよ!?
「どうします?参加しますか?」
「参加したいです、参加したいです、参加したいです!!」
俺は頭をブンブン縦に振っていた。

はるか先生の講座受けるんだー。
夏休みお盆しか京都に帰れないって言われてからずっと元気が無かったのにはるか先生の夏期講座を受けることになってからずっとご機嫌だった。
周りも夏休みで受かれてた。


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