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私立S学園高等部
第5章 初恋
「今日の発表、阿部君の小論文本当に良かったよ。」
そう言われて嬉しかったのだけどうまく言えなくて
「あ…はい…。」
と俯く自分がいた。
「担任の先生から今年の夏休みはお家の事情でお盆しか京都に帰れなくて阿部君が落ち込んでるって聞いてたけど夏期講座は楽しそうに頑張ってくれたので本当に良かった。」
そりゃはるか先生の講座だし。
話したいこと沢山あるのに何も言えない俺。
そんな俺が突然思い付いたこと。

こっそり夏期講座の合間にでもはるか先生の写真を撮ろうとデジカメを持ってきていた。
でも実際はそんなこと出来なかった。
ふと、デジカメの事を思い出した。
「先生…。」
「ん?何?」
「あの…。写真撮って良いですか?」
「ん?写真?」
俺、変なこと言ってる…よな…。うわーヤバイ!?
けどはるか先生は特に不審がらずに笑顔で答えた。
「うん、一緒に撮ろう。」

デジカメは自撮りモードがあった。
はるか先生は乗り気だった。
「ほら、阿部君、もっと寄って。」
はるか先生に肩を抱き寄せられた!!わーお!!
めっちゃヤバイ。
「阿部君も笑ってー。」
はるか先生が手を伸ばしてカメラを自分に向ける。

何枚かツーショット写真を撮って貰えた。
そして最後にはるか先生一人だけの写真を撮らせてもらった。

寮に帰る間興奮して何度かコケそうになった。
寮に帰って何度もデジカメの写真を見直した。

はるか先生と俺の写真がある!!

はるか先生の写真可愛いし!!

その後お盆に京都に帰った時にプリントアウトしたり携帯の待受画面にした。

夏期講座ではるか先生に沢山会えて楽しかった夏休みだったけど、夏期講座が終わるとはるか先生に会えるのは、はるか先生がたまーに岬せりなを送り迎えする為に寮に来たり学校行事で保護者として小学部に来た時だけになってしまった。
それでもその僅かな機会に会うとはるか先生は俺を見つけると挨拶してくれた。

そしてその夏期講座以後、俺は国語の成績が格段に良くなった。
そしてそれに引っ張られるかのように他の科目の成績も上がった。
元から本を読んでは居たけど文章を書くことや話すことに対してはあまり得意ではなかった。
でも夏期講座で書くことや話すことに対する抵抗感が少し薄れて自信がついたみたいだった。

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