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私立S学園高等部
第5章 初恋
マメに大学の図書館に通っていると度々はるか先生に会えた。
会うと挨拶して軽くお話しできた。
そして通っているうちにはるか先生が土曜日の午後に図書館に来ることが多いってことにも気付いた。

そして横山光輝『三國志』も順調に読み進められた。
面白くてハマってた。

学校では無難に過ごしていて週末は図書館ではるか先生に会えてドキドキニヤニヤして、読書を楽しんで。

制服も半袖になった頃だろうか?
はるか先生、図書館で見掛ける時によく高等部の生徒と話してるようになった。
で、この高等部の生徒が…。

カッコイイ…。

背が高くて男前だった。

そして。
その生徒と話してるはるか先生…。
いつもより…可愛くね?

高等部の先生なんだから高等部の生徒と話すなんて別に普通じゃん。
仲良さそうで羨ましい。
アイツ、イケメンだしさ。
なんかはるか先生もデレデレしてる気がするし。
でもはるか先生が高校生なんか相手にしねーよな?
はるか先生が生徒と付き合うとか…。

その頃の俺は高等部の実情を知らなかった。

図書館に通う度に気が付けばその二人ばかり探していた。
はるか先生が居なくても「あ、アイツおるわ!!」とかチェックしていた。

そしてはるか先生とは挨拶はしていたけど話すチャンスは減っていた。

この年は夏休みはほとんどフルで京都に帰った。
じいちゃんと京都市内にある図書館という図書館に連れて行って貰った。
「一史のお母さんは読書が大好きでよく本を買いすぎだと幸一に怒られとった。」
幸一ってのは俺の父。
「ふぅん。そんなことあったんや。」
あんまり母が生きていた頃の話は知らない。
俺と両親の過ごした時間は余りにも僅かすぎる。
そして父は母の話をあまりしたがらなかった。

お盆に一日だけ父が京都に帰ってきてくれた。
「ねぇねぇ父ちゃん?」
「なんや?」
霞ヶ関で働く父も京都に帰ると京都弁丸出しやった。
「お母さんって本を読むのが好きやったん?」
「あー好きやったな。本ばっかり読んでた。」
「どんなん読んでたん?」
「そうやなぁ…。何でも読んでたけどな…。仕事関係の本からノンフィクションからミステリから歴史小説まで。」
「父ちゃんは本読まへんの?」
「仕事忙しいから中々読めてへんなぁ。普段新聞とか仕事の資料で一杯一杯やわ。一史はなんか読んでるの?」


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