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私立S学園高等部
第5章 初恋
「今は漫画の『三國志』読んでる。」
「へぇ…。一史ももう『三國志』とか読む年なんや!!」
「漫画やけどね…。」
「漫画でも凄いやん。漫画読み終わったら今度は吉川英治の『三國志』読んだら良いよ。」
久々に父と話すのは楽しかった。
メールはちょくちょくしているけど、でもメールするのも父ちゃん忙しいんやろなぁ、と遠慮してしまう。
父は京都から帰る前に俺にその吉川英治の『三國志』の文庫本を全巻買い与えてくれた。
そして夏休みが終わるギリギリに寮に帰ったので夏休み間は図書館に行かなかった。
新学期が始まり、また漫画『三國志』を借りに図書館に行った。
中国の歴史のコーナーに行ってまず三國志の続きを確保。
そして何となく他の本もぼんやりと見ていた。
すると後ろに背の高い男の人が立っていた。
高等部の制服じゃなかったから一瞬あれ?と思ったけど、例のはるか先生と仲良しのイケメン高校生だ。
その人も中国の歴史関係の本を探していた。
何読んでるのかな?
分厚くて難しそうな本をイケメン高校生は持って行った。
あ、いつもの席だ。
いつもの席にはるか先生は座っていた。
そしてその隣にイケメン高校生は当たり前のように座る。
ん?
何だろう?
はるか先生もなんか違う。
いつもより若く見える。
そして二人はしばらくひそひそ話をしながら本を読んだ後、二人一緒に図書館を後にした。
あれ?二人一緒に?
夏休み前までそんなことなかったのに?
気になって俺も図書館を出て二人を追い掛けた。
二人は大学のカフェテラスに入っていった。
え?え?
大学の売店は何度も行ってるけどカフェテラスはさすがに小学生一人じゃちょっと入れない…。
二人が窓側の席に仲良く座って会話してるのを確認してから仕方なく寮へ戻った。
どう見ても恋人同士じゃん。
その日寮に帰って三國志読む気になんかなれなかった。
その次の土曜日も二人はベッタリで。
「なぁ、阿部っち?痩せた?」
クラスメートに言われたので寮の浴場にある体重計に乗ったら確かに少し痩せていた。
最近食欲無いんだよな。
「夏バテ?まだ暑いもんな。」
「かなぁ…。」
夏バテなんかじゃないのは分かってる。
図書館であの二人を見る度に胸が苦しくなる。
「へぇ…。一史ももう『三國志』とか読む年なんや!!」
「漫画やけどね…。」
「漫画でも凄いやん。漫画読み終わったら今度は吉川英治の『三國志』読んだら良いよ。」
久々に父と話すのは楽しかった。
メールはちょくちょくしているけど、でもメールするのも父ちゃん忙しいんやろなぁ、と遠慮してしまう。
父は京都から帰る前に俺にその吉川英治の『三國志』の文庫本を全巻買い与えてくれた。
そして夏休みが終わるギリギリに寮に帰ったので夏休み間は図書館に行かなかった。
新学期が始まり、また漫画『三國志』を借りに図書館に行った。
中国の歴史のコーナーに行ってまず三國志の続きを確保。
そして何となく他の本もぼんやりと見ていた。
すると後ろに背の高い男の人が立っていた。
高等部の制服じゃなかったから一瞬あれ?と思ったけど、例のはるか先生と仲良しのイケメン高校生だ。
その人も中国の歴史関係の本を探していた。
何読んでるのかな?
分厚くて難しそうな本をイケメン高校生は持って行った。
あ、いつもの席だ。
いつもの席にはるか先生は座っていた。
そしてその隣にイケメン高校生は当たり前のように座る。
ん?
何だろう?
はるか先生もなんか違う。
いつもより若く見える。
そして二人はしばらくひそひそ話をしながら本を読んだ後、二人一緒に図書館を後にした。
あれ?二人一緒に?
夏休み前までそんなことなかったのに?
気になって俺も図書館を出て二人を追い掛けた。
二人は大学のカフェテラスに入っていった。
え?え?
大学の売店は何度も行ってるけどカフェテラスはさすがに小学生一人じゃちょっと入れない…。
二人が窓側の席に仲良く座って会話してるのを確認してから仕方なく寮へ戻った。
どう見ても恋人同士じゃん。
その日寮に帰って三國志読む気になんかなれなかった。
その次の土曜日も二人はベッタリで。
「なぁ、阿部っち?痩せた?」
クラスメートに言われたので寮の浴場にある体重計に乗ったら確かに少し痩せていた。
最近食欲無いんだよな。
「夏バテ?まだ暑いもんな。」
「かなぁ…。」
夏バテなんかじゃないのは分かってる。
図書館であの二人を見る度に胸が苦しくなる。