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私立S学園高等部
第5章 初恋
一生懸命本を取ろうと背伸びして手を伸ばしていたら。
「どの本?」
「えっと…。『項羽と劉邦』」
この人は声もイケメンなのかと溜め息が漏れた。
はるか先生の彼氏、栃本さんが『項羽と劉邦』を手に取って俺に渡してくれた。
「有難う…ございます…。」
「昔は『三國志』読んでたよね?今は『項羽と劉邦』読んでるの?」
この人…俺のこと知ってるの!?
俺は黙って首を縦に振って栃本さんの質問に答えた。
「『三國志』ゲームとかしてるの?」
「DSの『三國志』はやってます。弱いけど…。」
「あぁ、DSか。小学部ってDSとかPSP以外のゲーム機禁止だったっけ?」
「はい。」
漫画で三國志を読むと同時にゲームでも三國志をやっていた。
それから栃本さんと少しゲームの話で盛り上がった。
「また、会ったらゲームや三國志や項羽と劉邦の話しような。」
「はい、お願いします。」
「じゃあ、また。バイバイ。」
栃本さんが去ろうとした時。
俺は無意識に聞いていた。
「あの、栃本さんってはるか先生の恋人なの?」
栃本さんはかなり驚いた顔をした。
やべっ!?俺、言わなくていいこと言っちゃった。折角仲良く喋ったのに怒られる!?
栃本さん背も高いし、やっぱり高校生怖い…。
栃本さんは少し困ったような顔をして
「そうだよ。」
と答えてくれた。
そうか。
やっぱり、はるか先生と栃本さんって恋人同士なんだ。
「栃本さんとはるか先生お似合いだよ。」
俺の声は震えていた。
そして俺は「バイバイ」とだけ言ってそのまま走ってその場を去った。
寮に帰ってきて気付いた。
俺、涙ぐんでいる…。
「ホンマ、俺、何であんなこと栃本さんに言ったんだろうね。」
記憶を辿ってみても分からない。
多分当時の俺も分かってないだろうなぁ。
「泣いてたって本当にはるか先生のこと好きだったのね?」
「失恋だよなぁ。でもさ。寮に帰って冷静になって『しまった!!泣いてる所見られた!!』と思ったような記憶があるよ。」
それから栃本さんとは仲良くなった。
「言うなよ?」
相手は高校生だと言うのに慣れたからか俺も栃本さんに対してすっかりタメ口だった。
「何を?」
「こないだ泣いてたこと…。」
「誰に言うなって?」
コイツ…。
俺はムスッとして答えた。
「はるか先生に言わないで。」
「どの本?」
「えっと…。『項羽と劉邦』」
この人は声もイケメンなのかと溜め息が漏れた。
はるか先生の彼氏、栃本さんが『項羽と劉邦』を手に取って俺に渡してくれた。
「有難う…ございます…。」
「昔は『三國志』読んでたよね?今は『項羽と劉邦』読んでるの?」
この人…俺のこと知ってるの!?
俺は黙って首を縦に振って栃本さんの質問に答えた。
「『三國志』ゲームとかしてるの?」
「DSの『三國志』はやってます。弱いけど…。」
「あぁ、DSか。小学部ってDSとかPSP以外のゲーム機禁止だったっけ?」
「はい。」
漫画で三國志を読むと同時にゲームでも三國志をやっていた。
それから栃本さんと少しゲームの話で盛り上がった。
「また、会ったらゲームや三國志や項羽と劉邦の話しような。」
「はい、お願いします。」
「じゃあ、また。バイバイ。」
栃本さんが去ろうとした時。
俺は無意識に聞いていた。
「あの、栃本さんってはるか先生の恋人なの?」
栃本さんはかなり驚いた顔をした。
やべっ!?俺、言わなくていいこと言っちゃった。折角仲良く喋ったのに怒られる!?
栃本さん背も高いし、やっぱり高校生怖い…。
栃本さんは少し困ったような顔をして
「そうだよ。」
と答えてくれた。
そうか。
やっぱり、はるか先生と栃本さんって恋人同士なんだ。
「栃本さんとはるか先生お似合いだよ。」
俺の声は震えていた。
そして俺は「バイバイ」とだけ言ってそのまま走ってその場を去った。
寮に帰ってきて気付いた。
俺、涙ぐんでいる…。
「ホンマ、俺、何であんなこと栃本さんに言ったんだろうね。」
記憶を辿ってみても分からない。
多分当時の俺も分かってないだろうなぁ。
「泣いてたって本当にはるか先生のこと好きだったのね?」
「失恋だよなぁ。でもさ。寮に帰って冷静になって『しまった!!泣いてる所見られた!!』と思ったような記憶があるよ。」
それから栃本さんとは仲良くなった。
「言うなよ?」
相手は高校生だと言うのに慣れたからか俺も栃本さんに対してすっかりタメ口だった。
「何を?」
「こないだ泣いてたこと…。」
「誰に言うなって?」
コイツ…。
俺はムスッとして答えた。
「はるか先生に言わないで。」