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私立S学園高等部
第5章 初恋
栃本さんは約束を守って俺が栃本さんとはるか先生が付き合ってると聞いて泣いたことも誰にも言わずに黙っていてくれた。
前々から栃本さんは横山光輝『三國志』を借りに来る小学生に興味津々だった。で、俺がはるか先生に挨拶しているのを見てはるか先生に俺のことを聞いていたらしい。
「真面目で家族思いで本当に可愛い良い子よー。」
それがはるか先生の俺の評価らしい。
可愛い、か…。
何だか落ち込む。
落ち込んでる俺を見て栃本さんは
「阿部くんって本当にはるかさんのこと好きなんだな。」
顔が熱くなる。
「どうせ失恋だもん。どうせ栃本さんはるか先生とラブラブなんだろ?」
「ラブラブだよ、今は。」
グギギ…。
むーかーつーくー!!
半泣きになるわ…。
でも、俺、栃本さんのこと嫌いじゃない。
俺が落ち込んでるのを見て栃本さんは話題を変えた。
「阿部くんって今何年生だっけ?」
「六年生。」
「来年から監獄入りかぁ。」
監獄…。中等部は男女別で寮もパソコン禁止スマホ禁止、帰省すらほとんどさせてもらえない、寮に完全に軟禁される。
噂は聞いてるし今から恐怖に怯えている。
「今の内にやれることやっとかないとな。」
「うん…。」
夏休みはいつものように丸々京都で過ごした。
来年から夏休みの帰省すら申請出して許可が下りるかどうか分からない、って世界なので今年は出来る限り爺ちゃん婆ちゃん孝行しなきゃ、と思ってた。
でも実際は俺が甘やかされていたんだけど…。
前から行きたかった鞍馬山とか連れて行ってもらった。
「多分お前が高校生になる頃にはもう爺ちゃんも婆ちゃんも山なんか登られへんな。」
「爺ちゃんそんなこと言わんでや!!」
蒸し暑い京都だけど登る毎に暑さが和らぎ、木陰は涼しい位で、木陰から洩れる光が美しかった。
「はるか先生にも見せてあげたい。」
心の中でそう呟いた。
けどその時に浮かんだ映像は木漏れ日に目を細めるはるか先生。
と。
隣で談笑する栃本さん…。
心の中まで栃本さん出て来んでええやんか!!
夏休みの終わりには本当に学園に帰りたくなかった。
でもそうしたらはるか先生に会われへんやん。
まあ栃本さんが側におるんやろけど。
でも栃本さんとも喋りたいし。
京都駅で爺ちゃんと婆ちゃんが見送りに来てくれて、俺は恥ずかしながら大泣きしてしまった。
前々から栃本さんは横山光輝『三國志』を借りに来る小学生に興味津々だった。で、俺がはるか先生に挨拶しているのを見てはるか先生に俺のことを聞いていたらしい。
「真面目で家族思いで本当に可愛い良い子よー。」
それがはるか先生の俺の評価らしい。
可愛い、か…。
何だか落ち込む。
落ち込んでる俺を見て栃本さんは
「阿部くんって本当にはるかさんのこと好きなんだな。」
顔が熱くなる。
「どうせ失恋だもん。どうせ栃本さんはるか先生とラブラブなんだろ?」
「ラブラブだよ、今は。」
グギギ…。
むーかーつーくー!!
半泣きになるわ…。
でも、俺、栃本さんのこと嫌いじゃない。
俺が落ち込んでるのを見て栃本さんは話題を変えた。
「阿部くんって今何年生だっけ?」
「六年生。」
「来年から監獄入りかぁ。」
監獄…。中等部は男女別で寮もパソコン禁止スマホ禁止、帰省すらほとんどさせてもらえない、寮に完全に軟禁される。
噂は聞いてるし今から恐怖に怯えている。
「今の内にやれることやっとかないとな。」
「うん…。」
夏休みはいつものように丸々京都で過ごした。
来年から夏休みの帰省すら申請出して許可が下りるかどうか分からない、って世界なので今年は出来る限り爺ちゃん婆ちゃん孝行しなきゃ、と思ってた。
でも実際は俺が甘やかされていたんだけど…。
前から行きたかった鞍馬山とか連れて行ってもらった。
「多分お前が高校生になる頃にはもう爺ちゃんも婆ちゃんも山なんか登られへんな。」
「爺ちゃんそんなこと言わんでや!!」
蒸し暑い京都だけど登る毎に暑さが和らぎ、木陰は涼しい位で、木陰から洩れる光が美しかった。
「はるか先生にも見せてあげたい。」
心の中でそう呟いた。
けどその時に浮かんだ映像は木漏れ日に目を細めるはるか先生。
と。
隣で談笑する栃本さん…。
心の中まで栃本さん出て来んでええやんか!!
夏休みの終わりには本当に学園に帰りたくなかった。
でもそうしたらはるか先生に会われへんやん。
まあ栃本さんが側におるんやろけど。
でも栃本さんとも喋りたいし。
京都駅で爺ちゃんと婆ちゃんが見送りに来てくれて、俺は恥ずかしながら大泣きしてしまった。