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私立S学園高等部
第5章 初恋
俺はその日のオリエンテーション終了後すぐに大学の図書館にダッシュした。
小学部の寮から図書館に通っていたのももう三年前の話だし、高等部の寮はまた違う場所にあるので、土地勘は全く無い。
見慣れないルートが俺の焦りを増幅させた。

図書館に…。
はるか先生は居なかった。
でもあの人がいた…。

「栃本さん…。」
「阿部君…。高校入学おめでとう。久し振り…。」
悔しいけど相変わらずカッコ良かった。
MA-1が似合っていた。
三年前から背は高かったと思うけど、記憶の中の栃本さんより更に大きくなった気がした。
俺だって三年前より大きくなったはずなんだけどな。

「阿部君が来ると思って待ってた。」
ちょっとした感慨を吹き飛ばすような緊張感。
「ちょっとここじゃ喋り辛いしカフェテラス行こう?」

栃本さんに黙ってついていく。
初めて大学のカフェテラスに入った。
大学生に混じって高等部の制服を着た二年生や三年生らしい生徒が見える。
外は強い雨が降っている。

二人ともホットコーヒーを買って座る。
座ってすぐに栃本さんが切り出した。

「二年前…。阿部君が小学部を卒業して次の年の1月…。はるかさん亡くなったんだ…。」

「えっ!?」

そこからの記憶はあまり無い。
ただ栃本さんが言った言葉だけが頭に残ってる。

「阿部君が中等部に進学した後、入院してそのままずっと闘病生活を送って…。」

俺は多分何も言えなかったと思う。
ただただ黙りこくっていたはずだ。

中等部に入ると外部との接触が無くなるしそんなこと全く知らなかった。
それにはるか先生と俺との接点なんて本当に微々たるもので。
娘のせりなとも友達でもないし。

震えが止まらなかった。
その時はまだ涙ぐんではいなかった。頭が混乱して追い付かなくて悲しみすら頭が処理できないんだ。

無意識にコーヒーを一口飲んで見上げた栃本さんの青ざめた表情を見て少しずつ話を頭が処理し始めた。

その後栃本さんとははるか先生と関係の無い話を少しだけした。
でもあんまり頭に入ってなかった。
お互いの携帯の番号やアドレスを交換したのだけ覚えている。

寮に帰ってからも震えは止まらなかった。
同室の奥田が「確かに今日は寒かったけど阿部ちゃん震えすぎ。熱でもあるのか?」と体温計を渡してくれた。
38.6℃。
「阿部ちゃん寝ろよ!」
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