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私立S学園高等部
第7章 セカンド・ラブ
彼女に追い付いて俺はここを逃したら話す機会がもう、訪れないような気がして彼女の肩を叩いた。

「新入生だよね?名前何て言うの?」

彼女は少し驚いたような顔で振り返った。
俺の顔を見てさっきの生徒会長だと気付いたのかハッとした表情をした。

「高津と言います。」
「高津さん?下の名前は?」
「高津…高津樹理です。」
「樹理ちゃん?あ、俺のこと知ってると思うけど生徒会長の阿部一史と言います。宜しくね。」

生徒会長だからまだそこまで警戒されなかったかも知れない。
いくらこの『お盛ん』な高等部でも新入生からしたら『ナンパ』はキツいだろう。
俺は自分が馴れ馴れしいって自覚はあった。
でもここで引いたりしたら声を掛けたのも無駄になる。

「樹理ちゃんはこの後予定あるの?」
「いえ…。別に…。」
「大学にカフェテラスあるの知ってる?そこでお茶しない?」

どんな子か興味を持って話してみたいと思ったから誘った。
でも誘って何を話せば良いのか分からなかった…。
いつも女子の方から話し掛けてくる。俺からはあまり話さない。

いつも遊んでる女子ってどんな話してくるっけ?

「甘いもの好き?」
高津樹理ちゃんはクールな表情のままカフェテラスのケーキのケースを眺めてた。
「好きです。」
「ご馳走するから何か食べたら?」
え?と少し戸惑ってる樹理ちゃん。
「え、でも初めて会った先輩にそんなの悪いし…。」
「入学式に財布とか持ってきて無いでしょ?今、お金持ってないでしょ?俺、財布持ってきてるし、まあ入学祝いだと思って?」
「いいんですか?ありがとうございます。」
素直に頭を下げてくれた。
そして笑顔でケーキを選んでいる。
意外と普通の女の子かもな、なんて思ったり。

カフェテラスで俺は必死に話し掛けていた。
俺の爺ちゃんが甘いもの大好きで孫をダシにしてカフェとかケーキ屋さんや甘味処に行ってた話とかしたら反応良くてホッとした。

「だから祖父は俺が京都に帰る度に新しい店を開拓してるよ。パンケーキとかかき氷とか連れて行かれた。でも俺も子供の頃は良かったけどもう高校生だし、高校生の野郎と高齢者の男性が二人でパンケーキの行列に並んでるとかそろそろ恥ずかしいよなぁ…。」
「え?微笑ましいと思いましたよ。阿部先輩ってお祖父様大事にされてるんですね?」

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