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私立S学園高等部
第2章 美人教師と忘れ形見
そして読み出した百人一首の本や漫画達。
意外と読んでて面白かった。
そして読む前はバカにしてたんだけど読んでみて大人の恋愛の歌が多いんだなぁ、と柄にも無く百人一首の世界に憧れた。
そんなの周りには言えないけどね。

「ちゃんと読んでくれてるみたいだね?」
補習の時はるか先生が聞いてくれた。
「はい。文法の本とかはまだ注文中だけど漫画とか『本当は面白い百人一首』とか読んでます。」
「どう?興味持てた?」
「正直読む前はバカにしてたんですけど読んでみると面白いです。」
「どういう所が?」

言葉に詰まる。

大人の恋愛に憧れるとかこっぱずかしー!!

「その…。えっと…。まあ昔の人も今の人も変わらないのかなぁ、と…。」
「うんうん。そういう感想あるよね。じゃあ次の宿題なんだけどお気に入りの歌を一つ決めてきて。」
「分かりました。」
「その文法の解説とかするし。」

厳しい!!と思ってた古典の補習。
最初はプリントわんさかだし、あんまりにも俺が出来なくて普段あんまり声を荒げたりしないはるか先生の叱責の声が飛んでいた。
そしてそれでも俺が理解に乏しくてはるか先生もどうしたものかと頭を悩ませていたらしい。
はるか先生が少し矛先を変えてみようと始めた百人一首アプローチ。

俺もそういうアプローチなら関心が持てるのではるか先生の補習も少しずつやる気になってきた。
基本はあくまでも文法や古語や敬語がメイン。
でも後半は百人一首の解説、文法や時代背景や作者のことだけでなくその題材の恋愛の話とか講義してくれた。

「はるか先生は彼氏とかいるの?」
別にはるか先生を狙ってるとかじゃなくって本当になんの気無しに百人一首の話の流れで俺は聞いていた。
「今は居ないよ。」
「あ、娘さんとかの手前遠慮してるの?」
「あんまり関係ないかな?せりなは私に彼氏が出来てもあんまり動揺しないんじゃないかな?」
「ふーん。」
「そういう栃本君はどうなの?」
「俺?ぜーんぜん。」
「イケメンなのにね。」
俺、はるか先生にまでイケメンとか言われた。びっくり。

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