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私立S学園高等部
第2章 美人教師と忘れ形見
宿で温泉に入った後せりなちゃんはベッドで爆睡してる。
「あんだけ海ではしゃいだらそりゃ疲れるわ…。」
「英司君、本当に有難う…。」
「いやいや俺も連れてきて貰ったんだし感謝しかないよ。」
「今までね。せりなと旅行とかほとんどしたことないのよ。両親ももう亡くなってるから帰る田舎も無いし。日帰りでちょっと連れ出す位で。英司君がついてきてくれたからこそこうやって旅行出来たんだと思う。」
沢山写真を撮った。
沢山笑って沢山泳いで沢山食べて…。
帰りの特急は俺もせりなちゃんも爆睡していた。
日に焼けたせりなちゃんは夏休み終わって学校で本当に楽しそうに周りに旅行の話をしていたらしい。

俺もはるかさんやせりなちゃんの笑顔が沢山見れたし俺も本当に沢山笑った。

「来年も行こうね。」

約束は果たされなかった。

はるかさんと過ごす毎日は本当に楽しくて幸せだった。
でもはるかさんが『最近しんどいのよね』とよく言ってたっけ?
「やっぱり三十路になったってことかなぁ…。」
はるかさんはその秋に30歳を迎えていた。
それでも仕事に全力投球し、俺やせりなちゃんにもしっかり愛を注いでくれた。

はるかさんの30歳の誕生日にはお小遣いを貯めてティファニーのネックレスをプレゼントした。
「ありがとう」
ティファニーって言ってもティファニーの中では一番安かったけどはるかさんは喜んでくれたし、最後まで肌身離さずにずっと着けていてくれた。
本当に最後まで…。

俺はそろそろ進路についてある程度決めなきゃいけない時期にきていた。
内部進学したら大学でもはるかさんの近くにいられるという理由で内部進学を希望した。
進路指導の教師には「国公立受けてくれ」と言われたけど「寮がしっかりしてるうちの大学が安心だから。」とか何とか言って押し通した。

年明け辺り。
ちょっとはるかさんの様子がおかしかった。
顔色が悪いし。
「ねぇ、はるかさん痩せた?」
「痩せた…かな?」
「ちゃんと食べてる?仕事忙しいの?」
「食べてるよ。仕事はそうでもないよ。」
なんか疲れてるのかな?まあ三学期っていつも大変そうだしなぁ、と漠然と考えていた、
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