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私立S学園高等部
第3章 モテない優等生
「真中君はカフェテリアよく来るの?」
「うん、だって腹減るもん。」
サンドイッチ美味しそうに食べるのね…。私もお腹空いてきたよ。
「そういやさ、畠山さん、今日図書館に本返したでしょ?俺、その本借りてきた。」
そう言って笑顔で鞄から出してきた本。

直木賞作家の書いた女性向け官能小説!!

いやー!!やめてー!!

「そ、それ、女性向けで男性向けじゃ…。」

結構女目線のエロだったしなー。
「うん、でもこの作家さんの直木賞獲った話好きだし読んでみようかな?と。」

あーもー知らん。
まあエロシーン目当てで官能小説読んだのは事実なんじゃ。
地味でダサくて不細工で色気なくてもエロは好きなんじゃ。

真中君の満面の笑みを見ながらため息をつく。

カフェテリアで夏期講習の話とかお互いの帰省した時の話とかしながら一緒に寮に戻った。

お互いの生い立ちの話になったとき。
まあすんげード田舎でバカにされるのかなぁと思ってたけど真中君はそんなこともなくフラットに話を聞いていた。
そして真中君は親が都心で整形外科をしてること、実家の跡を継いで欲しいと勉強が好きでは無かったのにこの学園に入れさせられた、という話を聞いた。
「えーそれ酷くない?」
「まあ丁度小学校高学年の時にサッカーやってたんだけどチーム内で派閥争いみたいな事があってそれきっかけで俺、サッカー辞めたのね。で、親がサッカー辞めた今がチャンスだとこの学園に入れたのよ。姉ちゃんいるんだけど姉貴には勉強しろとか言わないのにねぇ。」
「まあお金の為とか地元に帰る為にに医者になりたいとか思ってる私が言うのも何だけど親の言いなりの人生で良いの?」
「うーん。でも畠山さんがさ、家の環境とか金銭事情でうちの学校に来たように俺にとっては親の跡を継ぐのが変えられない環境だったって話じゃないかな?あーでも俺、医学部なんか無理かも…。」
頭を抱える真中君。
真中君は英語と国語と日本史に関しては申し分無い。所謂理数系が苦手らしい…。でもそれは医学部受験に致命傷な訳でして…。

「でもさ。俺、サッカーは辞めたけど観るのは今でも好きなのね。整形外科だったらさ、サッカー選手の怪我とか治せるかも知れないし。」
あーそれは立派な志望動機かも。
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