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私立S学園高等部
第3章 モテない優等生
年が明けて冬休みも終わりに近付いて生徒が寮にぼつぼつ帰ってきた。
真中君も約束通りミルクレープを買って帰ってきた。
『うちの部屋で食べようよ。お茶淹れるし。』

せりなちゃんは栃本さんの所に行ってて不在。だったらまあいっかーと真中君を部屋に呼んだ。

部屋をノックする音。ドアを開けると真中君が立っていた。
「あ、畠山さん…。」
「なに?」
「いや、頭…。」
頭って何よ?
「切ったのは頭じゃなくて髪の毛なんですけど?」
「あ、ああ…。いや、そう…。」
「ビックリした?」
「ん、うん…。」
「あ、入ってよ。」
「お邪魔します。」

落ち着かない感じでキョロキョロする真中君。
「まあ学園のアイドルの部屋だもんねー。」
「いや、その女の子の部屋とか初めてだし…。片付いてるしいい匂いするなぁ…。」
「鼻の下伸びてるよ?」
「…。あ、ミルクレープ買ってきた。せりなちゃんの分と二つ買って来たけどせりなちゃん居ないんだな…。」
「真中君も食べようよ。せりなちゃん、今日は帰って来ないと思うし。残念だけど。」
「あ、ああ…。まあせりなちゃんは栃本さんとデートでしょ?また今度畠山さんも一緒に栃本さんの部屋行こうよ。」
「うん。そうだね。コーヒーにする?紅茶にする?」
「たまには紅茶にしようかな?」
私もせりなちゃんもコーヒーも紅茶もお茶も好きなのでティーバッグとかそれなりに良いのが揃ってる。
本当は茶葉買ってティーポットから淹れたい。

「きゃー!!ミルクレープ!!」
本気で嬉しい!!愛しのミルクレープ!!
「俺、初めてミルクレープ食べる…。」
美味しい!!
東京だったらそれこそ高級なケーキ屋さん沢山あるのかな?
「畠山さん顔が緩んでる。」
「え?」
「そんなに可愛く笑うんだ。」
「私だって笑うもん!!」
私って鉄仮面だと思われてるの!?
「そんなにミルクレープ好き?」
「好きだもん。」
少し膨れっ面で真中君の顔を見上げた…。

見上げたら真中君の顔が目の前にあって。

真中君と目が合って。

「え?」

突然だった。

何の前触れもなく。

え、嘘?

真中君に…キスされてる!?

え?何で?

え?私?

「どうして…。」

真中君は何も言わずに私をじっと見た。

私の初めてのキス。
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