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鏡よ鏡
第1章 *****
口々に囁いていた。



姫は烏の羽根のような濃く長いまつげをしばたいて、

称賛の声を吸収しては輝きに変える。





髪を結われた姫は馬車へと乗り込む。

下僕が馬を引く。



街を進むと、
『なんとお美しい……』

『まるで人形のようだ』

『姫さまだ…………』


と民衆が土下座をして、
尊敬の眼差しを向けた。

姫は馬車の上から札をばら蒔く。。



どよめきと同時に、
平民は舞い散る札を掴もうと慌てて立ち上がり駆ける。



姫はといえば、『札だー!』
『わたしのを取るなッ』
『金だッ』
との民衆の声も耳に届かない。


妖艶とも云える笑みを浮かべ、
隣国の王子との再会を今か今かと待ちわびているのだ。


カッポカッポと馬の足音が響く。
周囲には30人の騎士たちが、
甲冑を着込み鉄製の槍を携えて眼を光らせ護衛している。


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