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鏡よ鏡
第1章 *****
王子の手を取り、
姫は麗しさと妖艶さが交ざり合った容姿を、
惜し気もなく群衆へと晒した。
(わたくしは美そのもの)
(男たちよ、
わたくしの美の前に屈服しなさい)
宴は始まった。
合唱団が歓待の歌を唄い、ご馳走が並ぶ。
『姫、
踊っていただけませんか?』
王子が背を低くし誘う。
『もちろんですわ』
ワルツ調の歌に乗り、
優雅に踊る。
王様と妃が壇上からにこやかに眺めている。
『あっ!』
バシャリ。
水滴が王子の肩に飛ぶ。
姫は(なにごと)と踊りを止めた。
見ると、
他の国から呼ばれたであろう貧相な為りの女が青ざめて震えていた。
『もっ、申し訳ございませぬ!
直ぐ洗わせていただけませぬか』
飲み物を溢したらしい。
(そばかすに細い目。
髪も雑に纏めて………
無礼な女だこと)
出で立ちも貧相だが、
舞踏の席にて飲み物を溢すなどもってのほか。
姫は王子に気付かれないようにソバカス女を睨んだ。
王子はさらりと『ああ、
この程度構わん。
後で洗えばいいさ』
とソバカス女に背を向ける。
ソバカス女は何度も頭を下げ、
辛そうにその場を去った。
姫は麗しさと妖艶さが交ざり合った容姿を、
惜し気もなく群衆へと晒した。
(わたくしは美そのもの)
(男たちよ、
わたくしの美の前に屈服しなさい)
宴は始まった。
合唱団が歓待の歌を唄い、ご馳走が並ぶ。
『姫、
踊っていただけませんか?』
王子が背を低くし誘う。
『もちろんですわ』
ワルツ調の歌に乗り、
優雅に踊る。
王様と妃が壇上からにこやかに眺めている。
『あっ!』
バシャリ。
水滴が王子の肩に飛ぶ。
姫は(なにごと)と踊りを止めた。
見ると、
他の国から呼ばれたであろう貧相な為りの女が青ざめて震えていた。
『もっ、申し訳ございませぬ!
直ぐ洗わせていただけませぬか』
飲み物を溢したらしい。
(そばかすに細い目。
髪も雑に纏めて………
無礼な女だこと)
出で立ちも貧相だが、
舞踏の席にて飲み物を溢すなどもってのほか。
姫は王子に気付かれないようにソバカス女を睨んだ。
王子はさらりと『ああ、
この程度構わん。
後で洗えばいいさ』
とソバカス女に背を向ける。
ソバカス女は何度も頭を下げ、
辛そうにその場を去った。