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猫好き男子と大人な部長
第14章 過ちを悔いる猫好き男子
 このまま架恋を失ってしまうかも、と想像するだけで、一気に血の気が引く修馬。

 修馬は過去に何人かの女性と交際した経験があるが、ここまで一人の相手に夢中になったのは生まれて初めてのことだった。

 それだけに、今回の事は本当に痛恨事だったといえる。

 だが、修馬には篠宮を責める気は起きなかった。

 何より、「自分の脇が甘かったから、こういうことになった」「こうなったのは誰の責任かといえば、篠宮ではなく、自分の責任」と修馬は自覚していたので。

 それにまた、「篠宮とはそういう人だ」と、とっくに分かっていたことも、彼女を責める気にならない理由の一つのようだ。

 実際、昨年、営業部の同僚同士が交際寸前まで漕ぎつけていたところを、篠宮がぶち壊しにしたという出来事もあったので。

 なので今回の件も、「篠宮の動機は、自分に好意を抱いているからではなく、ただただ幸せそうな人が身近にいることを嫌って、その幸せをぶち壊そうと思ってのことだろう」と想像する修馬。

 こんなことをされて、修馬が篠宮に好意的な感情を示すはずがないと、篠宮自身も分かってるはずだ……と、修馬は思っていた。

 もっとも、「なんて酷いことをする人なんだ」と、篠宮を深く軽蔑する気持ちは、修馬にも多分にあったが。




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