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Beautiful Smile~不器用な愛~
第8章 気吐
***
電車で最寄り駅まで涙を堪えながら行く。電車を降りた瞬間に次から次へと溢れ落ちる雫。花さんに否定をされたことが悔やくて苦しくて涙が止まらない。
心が痛い。妊婦さんにあんなことをして、負担をかけてしまったことにも自己嫌悪だ。死にたい、死にたい、死にたい。苦しい、苦しい、苦しい。切りたい、切りたい、切りたい。辛い、辛い、辛い。
「ミキさん!!」
聞き慣れた声。こんなところ、見られたくない。私は走ったけれど、自転車の透のことを撒ける筈もない。自宅に入る。靴のままキッチンに行き、台所にある包丁を手に取る。
「ミキ!!」
「やめてよ! 邪魔しないで! 死ぬんだから!」
暴れる私の手で透の眼鏡が吹き飛ぶ。
「っ……ふっ」
「それなら、僕のこと傷つけて下さい! もう自分の血も涙も流さないで下さい」
「言ったよ?」
初めて透からされた深い、深い口付けに驚くが、こんなところで怯んでたまるか。