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Beautiful Smile~不器用な愛~
第9章 別涙
「ごめんな。でも、安心した。ミキがそうやって
泣いてくれることで、ミキが普通の女の子だってことが分かって。幸せにしてやれなくて、傷つけてばかりでごめん。最後まで最低な男でごめん」

 ケンジは私の頭を撫でて、微笑む。悔しいけど、ケンジのことは只のセフレ以上だった。最低な人なんかじゃない。私の心配もキチンとしてくれていた。

「ううん、今までありがとう。私、頑張るから。だから幸せになって――」

 あんまり困らせてはいけない。それだけ言い残すと車を降りる。

「ミキこそ幸せになってね」

 それがケンジの最後の言葉だった。ケンジは最後の最後まで私の顔を真剣に見て、目をそらさなかった。私は、目をそらしめてしまってばかりだった。

 部屋に入ると、涙を洗い流すのにお風呂に入った。けれど、洗い流してなんてくれない。次から次へと止めどなく、溢れ落ちる。

 お風呂上がり、髪も乾かさずに布団に寝転ぶ。あの後、新しくカッターナイフを購入したが、手首を切る気持ちにもなれず、過食すらも何もする気にならず、そのまま泣き続けた。
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