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Beautiful Smile~不器用な愛~
第10章 粗相
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翌日、私は幼稚園の頃に感じた違和感で目が覚めた。 背中からお尻にかける冷たさに血の毛が引いて、顔が青ざめていくのが自分でも分かった。布団に広がる大きな地図。あろうことか十八歳にして、十五年ぶりくらいの粗相をしてしまったのだ。
部屋のチャイムが鳴る。昨夜、弱音を日記欄に書くのに広げた手帳の今月のページを見る。そこには“透と勉強会”の文字。
「透、来てもらったのにごめん。今日はちょっと体調が悪いから帰って」
ドア越しに断りの言葉を言う。玄関のところに置いている全身鏡にうつる自分の姿はあまりにも惨めで泣けてきて、涙が頬を伝う。目は昨日、泣き疲れたせいもあり、真っ赤に腫れている。
「っ……」
あろうことか透は帰らずに合鍵でドアを開けて入ってきた。