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Beautiful Smile~不器用な愛~
第11章 家族
***
地図を見ながら家の前に着くと中から大きな音が聞こえて、失礼ながら中に入る。奥さんが泣いている。息子さんが瞬さんを殴っていた。
「何すんねん!」
奥さんは、あわあわしている。
「おとんこそ何、おかんのこと泣かせてんねん! どこの女と浮気して、遅い日が増えてん?!」
「わっ、私が悪いんです!!」
思わず声が出てしまう。
「だ、誰?」
「ま、参ったなあ。すまん、すまん」
瞬さんは、出逢った時から今まであった敬意を話す。
「相変わらず、おとんはお人好しなんやから」
「相変わらず、あなたはお人好しなんやから」
息子さんと奥さんの声が被る。
「いや、なんかさ、あの頃の美羽にそっくりでほおっておけへんくて。なんて、息子の前でとか怒られそう」
瞬さんは、頭をポリポリと掻いた。
「お゛い」
「わー鬼嫁!!」
「しばくぞ!」
「おかん、もうしばいてるやんか」
「ふふふっ。なんかいいですね」
目の前で繰り広げられる家族漫才に思わず笑みが溢れる。さっきまで泣いて怒っていた家族も今ではほっこり和んでいる。奥さんは、お茶を入れてくれ、瞬さんと出逢うまでのこと。出逢ってからのことを話した。この家族になら話せる、そう思ったからだ。