この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
口琴
第9章 逃避
敬介は、新聞に隠れるように首をすくめた。

「あなた?…どういう事ですか?」

敬介は新聞の上端から、チラッと梨絵を見ると、開き直ったように新聞を畳み、ドンと乱暴に机に叩きつけた。

「チッ…うぜぇなぁー。社長が大勢の少女達の中から、うちの蕾を養子に選んで下さったんだ。願ってもねぇ話だろ?それに梨絵、お前にとっても好都合なんじゃねえか?ん?へッへッ…。淫乱娘がまた俺の上に跨がって来る前に、厄介払いしといた方がいいだろ?俺だって、毎晩こんなロリまんこに迫られたらたまったもんじゃねえ」

梨絵は床に崩れ落ち、肩を震わせた。

蕾はこの場にいられなくなり、逃げるように外へ駆け出した。

「蕾は、躾の仕甲斐があるそうだよ。幼いうちに、たっぷりと社長好みの躰に躾して頂けるんだ。蕾の躰を一番お気に召されたらしい。ありがてぇ話だぜ。
初潮が来たら、すぐに子種を着けたいそうだ。ヒッヒッ…。
それに、俺達も悠々自適に暮らせる…。おい、五億だぞ?五億!すげえだろ?

あいつだって、中條家に貰われる方が、何不自由なく暮らせるんだ。あいつの幸せの為にも…。な?梨絵…。

それにあのエロ社長、この話を断るなら、梓をよこせって言いやがったんだ!酷でぇ野郎だぜ、まったく!梓には指一本触れさせやしねぇ!」

梨絵は、この狂った男達と、今の自分を嘆いた。

梨絵の中に、二つの思いが葛藤していた。

母として、蕾を何としても守らなければ…と言う思いと、敬介と蕾との忌まわしい関係への懸念と。

梨絵は身心の疲労と動揺と混乱で、まともな思考力を失っていた。

この苦しさから、解放されたい…。

なら、いっそ敬介の言う通りに…。


涙が次々と溢れた。

蕾の愛らしい笑顔が、梨絵の脳裏を過る。

…ダニエル…あの人に似た笑顔…。心から愛したあの人に…。

梨絵はその瞬間、躰に衝撃が走り、思わず駆け出していた。

「梨絵?!」

…守らなきゃ!

どうして、迷ったりしたのか。

答えは明確だった筈。

養子?こんなの人身売買だ!

妊娠させるだなんて、あり得ない!

幸せ?ある筈がない!

私…なんて馬鹿な事…。

何故、蕾を信じなかったの?

また、あの時と同じ過ちを繰り返すつもり?

また、大切なものを無くしてもいいの?

梨絵は、自分の愚かさと弱さを心底悔いていた。

「蕾っ!蕾ちゃん!どこなのっ?!」
/222ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ