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口琴
第11章 知られざる過去
「なぁに?またハーモニカ吹いてんの?ご近所に丸聞こえよ?レッスン室で吹けばいいのにぃ。ご飯、ちゃんと食べてた?はぁ~つか………れ…た…。…ん…?!」

大量の荷物と楽器を担ぎ、一人で捲し立てながら帰って来たのは、聖の母、大崎 朋香(おおさき ともか)。

朋香は、やっと小さな来客に気付き、驚いて語尾を弱めた。

珍しく聖が友達を連れて来ている。しかも女の子…。

「あら、珍しい。聖にお友達?いらっしゃい」

もしかして…聖の彼女?聖も隅に置けないわね。
などと思い、大量の荷物を片付けながら、朋香の声は、さっきとは打って変わって、よそ行き風にワントーン上がる。

「こ、こんにちは。…お、おじゃましてます…」

蕾は、慌てて立ち上がり、長い髪が床につくほど、深々とお辞儀をした。

「ただいまぁー。聖くぅ~ん、生きてるかぁ~?」

車をガレージに入れ、聖の父、大崎 惣一(おおさき そういち)も、冗談を言いながら遅れて帰宅した。

「お帰り…」

ボソリと、素っ気なく言う聖。

「おや?これは失礼。お客さまが、いらしてたんだね?」

「お、おじゃましてます。私、佐山 ジュリアート 蕾と言います」

「…ジュリアート?…」

馴染みのない外国系の名前に、聖の両親は改めて、蕾の顔を見る。

黒髪だったので、外国人だとは思わなかった二人は、美しい、翡翠色の瞳に息を呑んだ。

それは、蕾が美少女だったからではない。二人の胸に、全く同じ事が浮かんだから。

『ダニエル…!』

「こ、こんにちは。佐山…さん?」

「は、はい…」

「…んだよ…二人とも変だぞ?」

「あ、ごめんなさい…。可愛いわね?小学生?」

「はい。小学四年生です。あの…すみません。勝手におじゃましちゃって…」

「い、いいのよ、そ、そんなの。遠慮しないで、ゆっくりしてってね。しっかりしてるわねぇ。小学生なのに。聖より、ずっと大人ね。うふふっ。そ、それに日本語、上手ね?聖に、こんな可愛いお友達がいたなんて…」

笑顔をひきつらせ、時折言葉に詰まりながらも、捲し立てる朋香。

「…ほっとけ。…それより、父さん達に頼みたい事があるんだ」

「…なあに?」

「…こいつを…蕾を、ここに暫く置いてやって欲しいんだ」

「…ん?どういう事だ?」

惣一は、少し眉間に皺を寄せた。
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