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口琴
第11章 知られざる過去

「理由は後で話す。だから、お願いします!父さん、母さん!」
聖は必死で頭を下げた。
「…理由も訊かずに、ここに置くことはできんな…。ま、ちょっと待ってろ。父さん達荷物を片付けて、着替えてくる。話はそれからだ」
「…うん…」
それから朋香はお茶を煎れ、蕾も含めて、ソファに座る。
「…家出でも…したのかな?」
惣一は、優しい口調で蕾に訊ねた。
「……私、家に帰りたくなくて…。それで…聖君がここへ連れて来てくれたんです」
「何故?ご両親と喧嘩でもしたのかな?」
「……いえ…その…あの…」
「…ご両親の…名前は?」
知るべきかどうか、複雑だったが、惣一は意を決して訊ねた。
「パパ…いえ…父の名前は、佐山 敬介です。母の名前は…佐山 梨絵と言います」
「…梨絵!?…」
二人の顔が青ざめた。
「惣一さん…?」
「…ああ…」
「父さん達、なんか知ってんのか?」
聖の言葉には応えず、更に惣一が蕾に訊く。
「…君は、ハーフだね?ご両親の名前は、お二人とも日本人のようだが…」
「…はい。本当の父はオーストリア人で、私が二歳の頃に、交通事故で亡くなりました。それで母は、今の父と結婚…あ、違った…再婚したんです」
「…オーストリア…人…」
「…その…亡くなったお父様の…お名前は?」
朋香が、恐る恐る訊ねた。
「ダニエル.クライバーと言います」
朋香は俯き、惣一は頭を抱えた。
点と点が線になる…。
惣一の脳裏には、閉ざしていた過去が、波のように押し寄せていた。
惣一は、気が動転していたが、何とか冷静さを取り戻せた。
「…そ、それで、家出の原因は?」
「だから、父さん!それは…」
「いや、ことによっては、私達も力になれないかも知れない。第一、ご両親も心配してるだろう。今頃君を探してるんじゃないかな?警察に捜索願いを出してるかも。ここに匿ったりしたら、私達は誘拐犯だ。先ずは、おうちに、無事だと言うことを連絡してだな…」
「父さん!そんなことできないんだよ!蕾は…親達に酷い目に遭わされて!それで…蕾の気持ちなんか、まるで無視して、金の為に養子にさせられるんだ!だから蕾は…自殺まで…」
聖は必死で頭を下げた。
「…理由も訊かずに、ここに置くことはできんな…。ま、ちょっと待ってろ。父さん達荷物を片付けて、着替えてくる。話はそれからだ」
「…うん…」
それから朋香はお茶を煎れ、蕾も含めて、ソファに座る。
「…家出でも…したのかな?」
惣一は、優しい口調で蕾に訊ねた。
「……私、家に帰りたくなくて…。それで…聖君がここへ連れて来てくれたんです」
「何故?ご両親と喧嘩でもしたのかな?」
「……いえ…その…あの…」
「…ご両親の…名前は?」
知るべきかどうか、複雑だったが、惣一は意を決して訊ねた。
「パパ…いえ…父の名前は、佐山 敬介です。母の名前は…佐山 梨絵と言います」
「…梨絵!?…」
二人の顔が青ざめた。
「惣一さん…?」
「…ああ…」
「父さん達、なんか知ってんのか?」
聖の言葉には応えず、更に惣一が蕾に訊く。
「…君は、ハーフだね?ご両親の名前は、お二人とも日本人のようだが…」
「…はい。本当の父はオーストリア人で、私が二歳の頃に、交通事故で亡くなりました。それで母は、今の父と結婚…あ、違った…再婚したんです」
「…オーストリア…人…」
「…その…亡くなったお父様の…お名前は?」
朋香が、恐る恐る訊ねた。
「ダニエル.クライバーと言います」
朋香は俯き、惣一は頭を抱えた。
点と点が線になる…。
惣一の脳裏には、閉ざしていた過去が、波のように押し寄せていた。
惣一は、気が動転していたが、何とか冷静さを取り戻せた。
「…そ、それで、家出の原因は?」
「だから、父さん!それは…」
「いや、ことによっては、私達も力になれないかも知れない。第一、ご両親も心配してるだろう。今頃君を探してるんじゃないかな?警察に捜索願いを出してるかも。ここに匿ったりしたら、私達は誘拐犯だ。先ずは、おうちに、無事だと言うことを連絡してだな…」
「父さん!そんなことできないんだよ!蕾は…親達に酷い目に遭わされて!それで…蕾の気持ちなんか、まるで無視して、金の為に養子にさせられるんだ!だから蕾は…自殺まで…」

